【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「ムカつくから。それにアイツは最低な男だぞ?」
「や、山本くんが?そんなのわからないでしょ?」
「わかるっての。お前が知らないだけだろ。痛い目見ても知らねぇからな?」
得意気に発するとじりじりと距離を詰めてくる。
痛い目って……。
そんなことはとっくに颯太からも釘を刺されているわけで。
というか、桐生秋十には言われたくない。
「それも……優しさのつもり?それとも忠告……」
ーーードンッ!
足元からゆっくりと視線を上げたと同時、桐生秋十は私を囲うように壁へ両手をついた。
ビクッ、と肩が大きく跳び上がり、みるみるうちに身体が強張っていく。