【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「忠告?俺はそんなに優しくないけど?」
「っ、」
低く、うなるような声音に息を呑む。
視界いっぱいに桐生秋十の怒りに満ちた顔が広がって、金縛りにあったように動けない。
「……だ……だったら、ほっといてってば」
「お前がバカだからほっとけないんだよ」
「ば、バカ……?なによ。アンタみたいな大魔王より、山本くんの方が数倍いいに決まってる!」
「なんとでも言え。お前が本気で恋するって言ってんなら、なおさら俺は諦める気なんかねぇよ?」
閉じ込められた腕の中、心臓の音がやけにうるさくて苦しい。
「………意味わかんない。諦める気ないって、なに?」
前髪の隙間から覗く黒い瞳は、私を射るように見つめている。
「仁菜のこと」
視線と視線が交差した直後。
強い意思を込めたように桐生秋十が答えた。