【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「お前もアレだろ?そういうことしたいんだろ?ならオレが、まずは優しくキスでもしてやろうか……?ククッ……」
「……っ!!!」
喉の奥で笑うとその顔を近づけてくる。
身体を動かしても到底力では勝てるはずもなく、ただただ恐怖に襲われていく中、立っていることが精一杯だった……。
「だいたいな……このオレが声かけてやっただけでも、ありがたく思えよな!たいして可愛くもないクセによ!!」
「俺は可愛いと思うけど?」
ーーーその声は、強さを増す雨の中でも、私の耳に確かに届いた。
無意識に閉じた目を開けば、傘をさした山本くんの背後に、酷く冷たい瞳をした彼が立っている。
「……き、桐生?なっ、なんで、お前が……、っ!?」
まるで幻でも見ているように驚いた山本くん。
私だって声も出ないほど驚いて、心の中で問いかける。
なんで……。
どうして、ここにいるの……?