【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




雨のせいでうっすらと滲む視界。


パチパチと、確かめるように瞬きをすれば、冷たい瞳で山本くんを捉えた桐生秋十が鮮明に映る。



ーーーバシッ!!


山本くんの傘を勢いよく弾き飛ばした。

ようやく強く抑えつけられた私の肩は解放される。



「桐生っ、な、なにそんな怒……っ!!」



けど、次の瞬間には、桐生秋十が山本くんの胸ぐらを掴みあげていた。



「女は男の力には勝てねぇんだよ?」


「ぐっ、苦し……離せ……、」



それは前に一度、言われた言葉。


だから男の力には勝てないって十分わかっていたはずだった。


不本意にも、桐生秋十が教えてくれたのに。



「それに、コイツのこといじめていいのは、昔から俺一人だけって知ってた?」



口元は笑っているのに山本くんを捉える瞳は少しも笑ってなんかなくて……。


いつもならそんなことを言われたら、私は頭にきて怒るのに、今はまるで守られているような気持ちになる……。



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