【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
さっきよりも強く抱き締められて胸に顔を埋めると、ドキドキと響く桐生秋十の心臓の音が速いことを知る。
腕の中がすごく温かい……。
雨に濡れて冷えた身体が熱を取り戻す。
まるでつられたように私の鼓動も加速していく。
大魔王のクセに、どうして助けたりしたの?
ねぇ、アンタは。
私のことが嫌いなんじゃないの?
「な、なんで、助けるの?私……アンタの忠告も聞かないで……いつもアンタのこと嫌いだって言ってて……アンタだって、私のこと、嫌いで……なのに、」
ダメだ、上手く言えない。
鼻の奥がツンと痛くなる……。
「だから言ったろ?俺は、お前のこと嫌いじゃないって」