【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「オレには大魔王みたいには見えなかったな」
今、助けてくれた桐生秋十はーーー。
それはまるで………、
「アキはヒーローみたいだったよ。大魔王なんかじゃない」
迷いのない声が私に降りかかる。
あの日ーーー初めて出会った日。
助けてくれた時のようにヒーローみたいで。
「不器用なだけなんだ。アキは人一倍……」
真っ直ぐに。
晴くんの声は私の胸の中に響いた。
「もう、わかってるでしょ?アキが本当はどんなヤツか。いくら日和の親友でも、アキのこと傷つけたら許さないよ」
「うん……」
私はそう答えるのが精一杯だった。
企みなんてない。
意地悪なきみの本当の優しさに触れた途端。
絶対にきみだけは無理だと遠ざけていた心が、急速に揺れ動いた。