【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




「いいな、山本は……」



不意に晴くんが呟いた視線の先には、未だ怒りをぶつけているひーちゃんの姿があった。



「え?晴くん……や、山本くんが?」


「だって、日和がすごい近くにいる。日和と話してんじゃん」



私は気づいてしまったよ、ひーちゃん……。


晴くんは……。

怖そうな雰囲気を放つ晴くんだけど、ひーちゃんの名前を呼ぶ時だけは、唯一優しそうな瞳をしてるんだよ。



「それに、蜷深も羨ましいよ」


「私が……?」


「アキは不器用で表現が下手。うん、見ててもバカだなって思う」


「……、」



絶対君主のあの大魔王をバカだなんて言えるのは、きっと晴くんくらいだよ。


同時に、それだけ晴くんは桐生秋十のことを、よく見てるんだなって伝わってくる。



「でもオレはそんなアキが好きだよ。だから、蜷深が羨ましいよ。愛されてて。ね?」



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