【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「これでもわかんないわけ?」
ゆっくりと唇が離れた直後、問いかけてくる。
ムスクの甘くて濃厚な香りが鼻をくすぐった。
息をすることすら忘れた私。
熱の残る唇に手をあてて動揺するしかなくて……。
待って……。
い、今の……なに……?
キス…………?
「いい加減気づいたら?企みでも冗談でもないって」
「……っ、」
やっとまともに桐生秋十の顔を映すことが出来たけど、やっぱり怒ったような眼差しを向けてくる。
私、キス……しちゃったの?
「っ、わかんないよ……今のなんのつもり……?」
心臓がバクバクと暴れて、もうどうにかなってしまいそうになる。
「お前があんまりバカだから、宣戦布告」
フイッと顔を背けてベッドに倒れこんだ桐生秋十。
その横顔は、熱に浮かされたせいで、赤く染まっていた。