【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




 *


家に帰ってからボストンバックを引っ張り出して、臨海学習の準備を始めたけど、なかなか進まない。


ある日の桐生秋十と颯太の会話が頭を過ってからずっとだった……。



ーーーー“友達の壁ぶっ壊せないお前よりマシ”



席替えしてから桐生秋十が颯太に言った言葉。

さっきの颯太の真剣な顔。

まさか颯太が私を……。

って、そんなことあるわけない。



「あら、まだ支度終わらないの?もうご飯出来てるわよー」



二つ返事で部屋を出ると、テーブルの上にはカレーとフレッシュサラダが並んでいた。



「お父さん、遠足の前の日なんかはカレーがいいって言っていたじゃない?力をつけなきゃって」


「お母さんのカレー大好きだったもんね」



ジャガイモが大きくて食べごたえがあるんだって、おかわりしてたのを覚えてる。


カレーを食べていると、お母さんがニコニコしながら私を見つめる。



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