【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
すっかり熱も下がったみたいで相変わらずの大魔王口調だ……。
「ほ、ほっといてよ!どうせ上からTシャツ着るんだし……」
「海ではしゃいで溺れんなよ?」
「溺れるわけないでしょ……!」
「ふーん」
すごい嫌味たっぷりに笑ってくれるんだから。
でも、なんでかな……。
たった一日顔を見なかっただけなのに、今は久しぶりに会って声を聞いたように感じる。
今までなら、桐生秋十が風邪でお休みした日は私のラッキーデイで、ずっと寝込んでればいいってさえ思ってたのに。
「やっぱり、桐生くんのこと嫌いじゃないんだね?なんか、ニーナの憎まれ口も軽くなってない?」
こそっと耳打ちしてきたひーちゃんにドキリと鼓動が波打つ。