【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
そんなことはひーちゃんだって知らない。
唯一、知ってるのは………
「ニーナ、早く着替えないと置いてくわよ!」
「う、うん……!」
ーーー思い出すのは止めよう。
私は急いで水着に着替えてタオルを持った。
このあとは海での自然体験学習だ。
桐生秋十もグループが同じだから嫌でも行動を共にしなきゃいけない……。
私のことが嫌いじゃないなんて……そんなことを言われてから、どんどん近づいてくるアイツ……。
私の心もいつの間にか、こんなに桐生秋十でいっぱいになるなんて、信じられない。
……だけど。
どうか今は、アイツが林間学校の夜のことを思い出しませんように。
そう願いながら集合場所の海へ向かうため、ひーちゃんと一緒に部屋を出た。