【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




「……なーんてな?」


「っ、」



冗談めかすような声が落とされた。


そして、ゆっくりと立ち上がった桐生秋十と目が合って、動くことも出来ない私。


身体の底からキューっと切ないような苦しいような気持ちが沸き上がって何も言えない。



「なに赤い顔してんだよ、バカ……」



コツンっ、と。

手の甲でおでこを叩かれた。

その手を口許へと持っていき表情を隠す桐生秋十。


だから、なんでアンタがそんな顔するの……?



「………だって、暑いから。それに、冗談なんて、いつものことだからわかってるよ」



下手な言い訳しか出てこないよ。



「あれ?こういう時お前は、“大嫌い”とか“最低”とか言うんじゃないのか?」


「それは……っ、」



ふわり、と。

私の答えを待つより早く、桐生秋十が首にかけていたタオルを「日除けだ」と言って頭からかけてくる。


ほのかにシャンプーのいい香りがする。



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