【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「そう。好きだから……傷つけたくないから。ニーナの隣にいるポジションを、アイツは失いたくないだけなの」
私の隣にいる男の子はいつも颯太だった。
どんな愚痴も、不満も、お母さんとの喧嘩話も嫌な顔一つしないで聞いてくれた。
「友達の壁を壊して好きな人のそばにいれなくなるくらいなら……このままで。そう思ってるんじゃないのかなぁ……」
切なさを含んだ綺麗な横顔が宙を仰いだ。
「颯太の気持ち……全然、気づかなかった」
まだ好きだと言われたわけじゃない。
けど、あの日の颯太の言葉が私に今までと違う何かを伝えていた。
「あ……颯太と付き合えば?ニーナがその気になれば、すぐにでも彼氏が出来ちゃう。そうなれば……あら不思議!ニーナの願いが叶っちゃうんだからね?」
「私の願い……、」
ひーちゃんは口許に笑みを浮かべて言ったけど、その瞳は私がなんて答えるかを、すでに知ってるような目だった。