【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「へぇ。最近は暴君も心を入れ換えたのかと思ってたけど、相変わらず大魔王なんだな?」
砂浜にどかんと座った颯太が皮肉を込める。
颯太………?
「心を入れ換えるって。結城、なに言ってんの?俺は何も変わってないんだけど?」
「だから、そんなお前のせいでニーナは最近変なんだぞ?わかんねぇとか、呆れる」
フッと息を漏らして笑う桐生秋十に対して、颯太の声が静かに怒ってるのが伝わる。
目の前にいる私さえ見えないかのように、桐生秋十を睨んでいた。
「それは嬉しいよ。少なくとも、俺を意識してるってことだろ?」
それなのに、桐生秋十は涼しげに答える。
私は……何か言わなきゃと思って、暑さにやられた脳みそを一周、二周したけど、言葉が出てこない。
「思い上がんな……これ以上ニーナを振り回すなよ?」
「振り回してなんかねぇよ。俺は、ずっと仁菜しか見てないだけだ」
ーーー胸の奥が焼けそうに熱い。
刺すような鋭い視線が颯太に向けられていた。