【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




「へぇ。最近は暴君も心を入れ換えたのかと思ってたけど、相変わらず大魔王なんだな?」



砂浜にどかんと座った颯太が皮肉を込める。

颯太………?



「心を入れ換えるって。結城、なに言ってんの?俺は何も変わってないんだけど?」


「だから、そんなお前のせいでニーナは最近変なんだぞ?わかんねぇとか、呆れる」



フッと息を漏らして笑う桐生秋十に対して、颯太の声が静かに怒ってるのが伝わる。


目の前にいる私さえ見えないかのように、桐生秋十を睨んでいた。



「それは嬉しいよ。少なくとも、俺を意識してるってことだろ?」



それなのに、桐生秋十は涼しげに答える。


私は……何か言わなきゃと思って、暑さにやられた脳みそを一周、二周したけど、言葉が出てこない。



「思い上がんな……これ以上ニーナを振り回すなよ?」


「振り回してなんかねぇよ。俺は、ずっと仁菜しか見てないだけだ」



ーーー胸の奥が焼けそうに熱い。


刺すような鋭い視線が颯太に向けられていた。



< 233 / 346 >

この作品をシェア

pagetop