【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「やっと捕まえた。日和、すぐ逃げるんだもん」
「っ、」
えぇ………!?
この展開は一体どういうこと………?
キョロキョロする私を見た桐生秋十は「バカ」と涼しげに笑って呟いた。
「日和はオレのために怒ってくれたんだってこと、わかってるよ?」
わかってるから……と。
静かな海のように柔らかな声で問いかける。
そして、優しく後頭部に手を回す。
「子供の頃からずっと怒った顔してる。オレのせいだね……?ごめん」
苦しそうに謝る晴くんの胸の中で、涙を堪えるひーちゃんは、ふるふると小さく頭を振った。
「消ゴムとか、給食のミカンとか、それから上履き投げたりしてたのも知ってるよ?あー、恐いなぁ、日和は」
「っ、うるさい……、」
「あはは。でも、そうやっていつも、オレのこと守ってくれてたのも、知ってる……」
あ……。
私も陰口を叩かれていた時、消ゴムが飛んできたことがあった。
ひーちゃんは、そうやって助けてくれたんだね。