【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
いつだって強気で、毒舌で。
何一つ、怖いものなんてないかのようなひーちゃんが、涙で頬を濡らしている。
「それにオレは、日和が隣にいてくれると、もっと笑えるんだけどな?」
ーーーー“オレはずっと日和一筋だよ”
晴くんが私に言ったことを思い出して心を打たれた。
「どうしよう、アキ。日和のこと泣かせちゃった」
ポンポンとひーちゃんの頭を撫でながら、晴くんがこっちを向く。
「晴らしいんじゃないの?」
見守っていた桐生秋十がクスッと笑った。
海に傾きかけていくオレンジ色の夕陽が、真っ直ぐに晴くんを照らし出した。
初めて見た晴くんの心からの笑顔が眩しくて。
優しい気持ちに包まれた私は目を細めたのだった。