【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




「ひーちゃんは……怒ってたわけじゃなかったんだよね?」



ましてや狂暴でも乱暴者でもなくて。

私は子供の頃のことを少し思い返した。



ひーちゃんがいつも怒った顔をしていて、不機嫌だよねって言われていたのは本当のことだ。


じっと耳を澄ませて、まるでみんなを睨むように、観察するように見つめていたから。



「……それは、晴くんのことを守りたかったからなんじゃないかなって。今頃、気づいちゃったよ」



ひーちゃんは、照れ臭いのか恥ずかしいのか、ほんの一瞬目を泳がせる。



「怖がられても、乱暴者って言われてもよかった。わたしは、これ以上晴が傷つく方が、嫌だったから……」



一呼吸置いて、胸の内を話してくれた。



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