【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
砕かれたように地面に膝をつくと、山本くんの高笑いが聞こえた。
「……なんでお前が謝んの?」
え……?
ーーーグイッ!
突然、痛いくらいの力で持ち上げられた私の腕。
頭上から降ってきた地を這うような低い声に、そっと顔を上げれば、
「お前が謝ることなんかないだろ?」
まだ少し、肩で息をしている桐生秋十が、闇に包まれた私を見下ろしていた。
どうして……どうして、ここにいるの?
まるで、林間学校の夜に戻ったようだった。
あの夜。
唯一、私を探しにきたのは大嫌いだった桐生秋十。
さっきよりも強い力で腕を掴まれて、ようやく立ち上がることが出来た直後。
「き、桐生……っ、お前、この偽善者に惚れてんじゃねぇのか!じゃなきゃ、また助けたりし……」