【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
一連の様子を見ていた山本くんが叫んだけど、震えるほど怖い瞳を向けられて、ビクリと身体を揺らした。
「仁菜に、なんて言ったんだよ?」
「……オレはっ、ただ!コイツが偽善者だからわからせてやろうと思ったんだよ!桐生は知らねぇだろ?蜷深の父親が、なんで死んだかなんて……!!」
その声に桐生秋十の眉が深く歪んだ。
「山本、お前は相当な覚悟があって言ってんのか?」
「………か、覚悟?」
「人の死を軽々しく口にする覚悟だよ」
「っ、桐生は……、何も知らないからそんなことが言えるんだ!蜷深は、コイツはな……っ、」
「お前の口から聞くことなんか、何一つないんだけど?」
山本くんの声を遮った桐生秋十。
ゆっくり視線を上げた私に気づくと、瞳をふわりと緩ませて、優しい表情をしてくれた。
「俺は、山本みたいな人間を軽蔑するよ」
「………っ!!」
打ちのめされた山本くんは顔を真っ赤にして、わざと私にぶつかると元来た道を走っていった。