【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「な……なんで?理由とか、聞かないの?」
「お前が話したいなら俺はいつでも聞くけど?」
「……、」
「富樫もお前のこと心配してたぞ?」
沈黙した私の脳裏にひーちゃんの顔が浮かんだ。
「どうして、ここがわかったの?」
「片っ端から探したけどホテルの中にはいないし。だから単純に外かもって思って来たんだよ。そしたら、お前の声が聞こえたから」
「私の、声……?」
「俺がお前の声を間違えるわけないだろ?」
「え……?」
温かい腕の中でそっと桐生秋十を見上げた。
「ほんと、自分でも呆れる。どんなに嫌われても、俺はお前の声に反応してんだよ。いつだって」
……心臓が切なげな音を奏でる。
私の涙を指先で拭うと困ったように笑った。