【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「お前、俺と決別したいんじゃなかったのか?」
「……っ、そうだよ?ぎゃふんって言わせて、それから……それから、」
二度と考えなくていいように決別するつもりだったのに……。
なのに、きみの優しさが嬉しくて。
きみを彩る一つ一つが堪らなく眩しくて。
ーーーもっと、きみを。
「ほんとは、秋十ってもっと呼びたい………」
今の秋十のことを、近くで見ていたいなんて思ってしまったんだ。
矛盾したことを言った自分に呆れて下を向いた。
「それ、逆効果だってわかんねぇのかよ……バカ、」
その瞬間、秋十の腕は私の背中に回された。
月の光に照らされて見惚れるくらい綺麗な瞳を、ただただ見つめるしかない私を、そっと抱き締めた。
「もっと呼んでよ?お前の声で……」
ーーー夏の夜。
秋十の体温に包まれた私はようやく気づいたことがある。
それは……
もう、私はきみに恋に落ちてるということ。