【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「そういえば今年は花火も打ち上がるって聞いたし……うん、行きたい!ねぇ、ニーナも行くでしょ?」
すっかり機嫌を直した笑顔のひーちゃん。
だけど、河川敷の夏祭り……。
お父さんとの思い出の場所であることに、私は躊躇ってしまい曖昧に頷いた。
「颯太、アンタは行くの?ねぇ、行くでしょ?行くって言いなさいよ!?」
「……まだなんも言ってねぇし。日和ってほんと強引。行けばいんだろ、行けば」
ゆるふわパーマをかきあげた颯太は苦笑い。
ひーちゃんは、よしよしと腕を組んだ。
「じゃあ、あとはオレからアキに声かけておくから。終業式の夕方、どっかで待ち合わせしよ?」
その名前にドキリと鼓動が揺れる。
夏祭り、秋十も来るのかな……?
もうすぐ待ちに待った夏休みがやってこようとしているけど。
終業式ーーー、
それは秋十との約束の期限でもある……。