【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




 *


ジージージー………。

あぁ……、夏だなぁ。

ずっと蝉が鳴いてるよ。

本当に、暑くて溶けちゃいそうだ。



私は普段めったに来ない中庭の草の上でゴロンと寝転がっていた。


果てしなく広がる夏の青空を見つめながら、もうすぐ秋十との約束の期限が近いなぁってぼんやり思った。


あんなに必死に意気込んでたのが嘘みたい。



「……あ、いたいた。ニーナみっけ!」



青空の中に、颯太の姿が飛び込んできた。



「わっ!!ビックリしたぁ……!てか、よくここってわかったね?」


「オレが初めてニーナに声かけた場所だったから、なんとなく?」



八重歯を見せた颯太が私の隣に寝そべる。

そうだ。


入学当初、秋十がキャーキャー騒がれてるところを見て不愉快な私は、この中庭にやってきた。



ーーーー“もしかしてお前はアイツが嫌いなのか?”



颯太に初めてここで声をかけられたんだ。



< 272 / 346 >

この作品をシェア

pagetop