【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
*
ジージージー………。
あぁ……、夏だなぁ。
ずっと蝉が鳴いてるよ。
本当に、暑くて溶けちゃいそうだ。
私は普段めったに来ない中庭の草の上でゴロンと寝転がっていた。
果てしなく広がる夏の青空を見つめながら、もうすぐ秋十との約束の期限が近いなぁってぼんやり思った。
あんなに必死に意気込んでたのが嘘みたい。
「……あ、いたいた。ニーナみっけ!」
青空の中に、颯太の姿が飛び込んできた。
「わっ!!ビックリしたぁ……!てか、よくここってわかったね?」
「オレが初めてニーナに声かけた場所だったから、なんとなく?」
八重歯を見せた颯太が私の隣に寝そべる。
そうだ。
入学当初、秋十がキャーキャー騒がれてるところを見て不愉快な私は、この中庭にやってきた。
ーーーー“もしかしてお前はアイツが嫌いなのか?”
颯太に初めてここで声をかけられたんだ。