【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「ニーナは夏祭り来んのか?」
大の字で寝そべる颯太の手が私の頭に触れた。
「………行きたいけど、でも」
「あー、ニーナは夏祭りより終業式の方が重要だもんな?大魔王との期限だろ?」
「うん、」
私の負けだ……。
まさか、秋十に心を奪われることになるなんて。
「なんでも言うこときくんだろ?やべぇじゃん。彼氏なんか出来そうにねぇし?」
茶化すようにケラケラ笑う颯太。
目線を動かすと颯太も同じようにこっちを見る。
けど、その瞳が少し遠慮がちで颯太らしくない。
臨海学習の前、颯太との放課後の会話が突然脳裏に浮かぶ。
今までなら、大魔王なんて大嫌い!って、颯太に愚痴って同調してもらっていたのに。
「………もう、見てらんねぇな」
「え……?」
寝返りを打つようにこっちに身体を向ける。