【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「ニーナにそんな顔させてんのは、やっぱりアイツなんだな……」
「颯太……?」
距離がぐんっと縮まって、生温い風に揺れる颯太のゆるふわパーマが、私のおでこを撫でる。
「ニーナの中心はいつも、桐生秋十かよ……」
「っ、秋十は……、」
私の口を衝いて出た名前に颯太の眉が歪む。
「……ニーナが名前で呼ぶのは、オレだけがよかったんだけどな?」
颯太の乾いた笑みがやけに悲しくて。
ーーーー“オレのことは名前で呼んでくれんの”
目の前の颯太の傷ついた顔から目を伏せた。
「オレにとってニーナの隣は特別なんだよ。だから、大魔王のことなんか見てほしくねぇ……」
苦しそうに吐き出された言葉に鼓動が早くなる。