【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
だけど、私の心の中にいるのは。
「………颯太は、友達だから」
ーーー世界で一番大嫌いだった、きみで。
私の言葉に大きく息を吐いた颯太が口を開く。
「知ってるっての……別に困らせたいわけじゃねぇんだよ」
「……、」
「我慢出来なかった。ニーナが、アイツのこと名前で呼ぶから」
いつの間にか名前を呼んでいる私がいて。
そうしたいって思っているのも本音で。
私の髪に通した颯太の指がゆっくりと離れる。
「だってそれって、アイツのことが好きだからだろ?オレには、わかるから……」
颯太は確かに隣にいるというのに。
どこか遠くに行っちゃいそうな寂しさが私の中に広がる。
友達の好きと、恋の好き。
それがこんなに大きなことだなんて、私は今まで知らなかった。
……きみに恋をするまでは。