【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。





だけど、私の心の中にいるのは。



「………颯太は、友達だから」



ーーー世界で一番大嫌いだった、きみで。


私の言葉に大きく息を吐いた颯太が口を開く。



「知ってるっての……別に困らせたいわけじゃねぇんだよ」


「……、」


「我慢出来なかった。ニーナが、アイツのこと名前で呼ぶから」



いつの間にか名前を呼んでいる私がいて。

そうしたいって思っているのも本音で。

私の髪に通した颯太の指がゆっくりと離れる。



「だってそれって、アイツのことが好きだからだろ?オレには、わかるから……」



颯太は確かに隣にいるというのに。

どこか遠くに行っちゃいそうな寂しさが私の中に広がる。


友達の好きと、恋の好き。


それがこんなに大きなことだなんて、私は今まで知らなかった。



……きみに恋をするまでは。



< 276 / 346 >

この作品をシェア

pagetop