【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
* * *
黒い瞳が空からゆっくりとこちらへ降りてくる。
「ーーー先生がいたから自分のことを好きになれて、周りの人間を信じてみようって思った。それから、転校してからも俺はありのままでいられたんだと思う。だから、まさか……」
アスファルトに落とされた声が小さくなる。
「先生が死んじゃうなんて、嘘だろ……って。前の学校の奴等から聞いた時は、冗談にしては度が過ぎてるって……」
悔しさを圧し殺すように呟いた。
大切な思い出があったのは、私も、秋十も同じだったんだね。
「嘘だって……信じたくないって。先生の葬式でそう言ったら、逆に言われたよ」
ーーー誰に?
そう聞こうとしたけれど、
「ーーーー“覚えててくれたら、嬉しいな”って。仁菜の母さんに」
「……え?」