【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
もう、いてもたってもいられずに私はその場から走り出した。
きみが、私を見つけてくれた場所へ。
夏の青い空が紫色に染まっていくのを見ながら、秋十のことを想った。
きみは、願ってもないのに突然、現れて。
私の告白を邪魔しにきたクセに、救世主だなんて自分で言うから、私は心底呆れて、大魔王って叫んだんだ。
ーーーー“告白しにきたのは俺だって言ったらどうする?”
ユキノ先輩に……と、思い込んだ私。
だけど「なーんてな?」って、すぐにいつも口癖でかわされて。
それでも、きみは。
ーーーー“俺がなってやろうか?お前の彼氏”
冗談じゃないって、わたしは全力否定して。
ーーーー“ …俺、顔も悪くないだろ?”
あの自信たっぷりなきみが、躊躇っていた。
ーーーー“ 堤みたいなヤツから、お前のこと守ってやるくらい出来るよ?”
大嫌いなきみが真剣に伝えてくれた。
坂道を一気に昇ると河川敷がハッキリと見渡せて、心臓が壊れそうなほど苦しくて。
「……っ、」
きみを探す私は、息も出来ないくらい、苦しくて。