【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




夏祭りが始まっている河川敷に足を踏み入れる。

もう、熱気なのか暑さなのかわからない。



「痛ぁ……、」



下駄で走ったせいで足の指を擦りむいた。

ヒリヒリして、赤く滲んでる。

でも、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。



薄暗くなった辺りに並んだ赤提灯が揺れた。


たくさんの屋台には結構行列なんかも出来ていて、少しでも気を抜けば、陽気に騒ぐごった返した人に呑まれそうになる。


秋十は、どこにいるの………?


すれ違う人の中できみを探しても、どこにも見つけられない。


きみの声も、聞こえない。


そんな不安と衝動が沸き上がり、再び足を動かした。



……と、その時。



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