【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




騒然とする辺りにさらに大きな泣き声が響いた。



「っ、うゎん、ママぁ……!!!!」


「た、たっくん…………!?あぁっ、もう!ごめんね、たっくん!」



人の群れを掻き分けて現れたのは血相を変えた女の人。


男の子のお母さんかな。


あわてふためいて飛んできたお母さんは、男の子の元へと猛ダッシュ。


すとん、と……。


空にいた男の子はゆっくりと降ろされて、お母さんに抱き締められる。



「見つけてもらえてよかったな?」



優しい声に胸が張り裂けそうになった。



「ありがとうございますっ!本当に、ありがとうございます……!」



よしよし、と男の子の頭を撫でる秋十。



きみは。

やっぱり、どこまでも、不器用なヒーローだ。



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