【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
子供の頃。
私に声をかけてきた秋十はどんな思いだったかな。
“ 大嫌い ”……って言われても。
いつも私に声をかけてきたよね。
だから、今度は私が。
「秋十………!」
何度だって、きみの名前を呼ぶよ。
お願いだから……行かないで……。
お祭り騒ぎの河川敷を抜けると、人波もほとんど消えていて、嘘みたいに静かだった。
息を切らして、やっと、後ろ姿に追いついた。
「秋十……!」
「っ、」
チョコレート色の髪が濃紺に染まって見える。
熱帯夜の風にサラリと揺れて。
足を止めた秋十がゆっくりと振り返る。