【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
怒ってもいいのに。
その優しさに気づけなかった私にもっと怒ったっていいのに。
どうして……。
「……守りかたなんて知らねぇよ。でも、お前に傷ついてほしくなかったんだよ」
ゆっくりと流れるように私に視線を向けた秋十は、驚く私の頬を撫でる。
「正しくなんかないってわかってた。けど……お前の傷つく顔見るくらいなら、嫌われた方がずっといい」
「……っ、」
あの頃。
傷つきたくないから私はどんな時も黙ったままで。
そうやって逃げ道を作って。
お父さんのことだってそう。
思い出さないように、苦しくならないように。
いつも、自分の心を誤魔化してきた。
それが私の心を守る方法だと思ってた。
けど、秋十が、私の心を守ってくれていた。