【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。




「でも、文集破いたのはほんとにムカついてやったんだけどな?」


「えっ?」



私の書いた文集を破かれたことがあった。

どんな内容だったのかは今でも覚えてる。


テーマは、“わたしの家族”……。



「だってお前、先生のこと一つも書いてなかっただろ?」


「……、」


「だから、ムカついたんだよ……」



思い出から逃げる私を秋十は許せなかったんだよね。


今なら、それがわかるよ。



「私ね……もっと、お父さんのことを話したい。お母さんと、秋十とも……」



真っ直ぐに見上げれば。

私から目を逸らさない秋十の真剣な瞳が揺れた。



「……私が、思い出さないと、お父さんいじけちゃうもん。空の上から、雷落とすかもしれない」



豪快に笑うお父さんの顔を思い出す。

私の大好きな笑顔……。



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