【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「泣いたっていんじゃないの?我慢して強がってる方が、心配になるよ」
「……、」
「それに親って……子供がどんなに嘘をついてもわかっちゃうんだって」
「……お母さんって、すごいんだね」
きっと私のお母さんも何でもお見通しなんだろうな。
大きな分かれ道で立ち止まった男の子は、かまってほしそうに見上げたわんちゃんを撫でた。
「それに……父さんがいなくていじめるヤツがいたら俺に言え。守ってやるから」
“守る”……。
その言葉は嬉しいはずなのに私には痛くて。
まだ、どこの学校かもわからない男の子。
名前だって知らない……。
それでも、大きな黒い瞳をした男の子が私にはヒーローに見えたんだ。