【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。





お母さん、お母さん……!


どうしようもないくらい涙が溢れてきた。

お母さんに見つけてほしくて私は必死に足を動かして、心臓が痛くなるほど走った。


すると、ほんの数メートル走った先に越してきたアパートが見えて、私と同じように必死に辺りを見回すお母さんが立っていた。



「お母さん…………!!!」


「に、仁菜………!?あぁ、よかった!もう、心配したじゃないの………」


「ごめんなさい、お母さん……道に迷って……」



ギュウッ、と抱き締められて安心する。

温かくて、お母さんの匂いがするから。



「あのねっ!あそこにいる男の子とルルちゃんが助けてくれ……て、」



振り返った時には、さっきまでいたはずの男の子とルルちゃんの姿は、もうそこにはなかった。



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