【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
次の日、転校生として紹介されたクラスで、私はその男の子に再会した。
まるで何かの物語みたい……。
ドキドキしながら声をかければ、すごく驚いていたのは彼も全く同じ。
「家に帰れてよかったな。よろしく」
クスッと笑った顔を見ていたら、トクンと胸が小さく高鳴った。
それが、桐生秋十だった……。
お母さんにそのことを話したら「すごい偶然だね」って喜んでいたんだ。
頭もよくてスポーツも得意でみんなに囲まれている彼が、人気者なのは一目瞭然。
女の子が休み時間に「カッコいいよね~!」ってよく騒いでいた。
「去年転校してきたばっかりなのにね!」
女の子の話によると彼は私よりも一年早く、三年生の時にこの学校に転校してきたらしい。
私と同じ転校生なのに、たった一年でもうクラスの中心に立っているなんて、すごいなぁ……。
私も早く、桐生くんのようにみんなと仲良くなりたいな。
だけど、それはそんなに簡単じゃなかった。