【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
「ニーナちゃんってお父さんいないの?お母さん達が話してるの、聞いちゃったんだ……」
「わたしも聞いたよ。ニーナちゃんのお父さん、学校の先生だったんでしょ?」
私は何も答えなかった。
その日から度々同じように聞かれても、どうしても答えたくなかった。
それが彼女達を不愉快にさせたらしく、友達なんて出来るわけもなく。
ーーー転校して一ヶ月が過ぎた頃。
「見て見て。ニーナちゃんのあの消ゴム、もう使えなくない?新しいの買ってもらえばいいのにね。貧乏だから買えないよかな?」
「シーッ!本人に聞こえるよ!」
ーーーコンッ!!
「…………痛っ!!ちょっと、誰!?消ゴム投げたの!!」
伏せるように席に座っていたら、ヒソヒソ話をしていた女の子に消ゴムが命中したらしい。
「そうやって人の観察ばっかしてよく毎日飽きないよね?楽しいの?」
「……ひ、日和ちゃん」
そんな時、唯一私に声をかけてくれたのは、消ゴムを投げつけたひーちゃんだった。
「そこの転校生!嫌なこと言われたら、嫌って言わなきゃダメなんだよ!?」
「……う、うん。ありがとう」
何でもハッキリと言葉を伝えることが出来るひーちゃんは、いつも怒ったような顔をしてて、だけど本当はとても優しい女の子だった。