【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
五年になった頃にそんなことを言われ、バカな私はただ言われた通り“秋十”って呼び続けていた。
だけど、やめるなんて真っ赤な嘘……!!
「お前が、俺に勝てるわけないだろ?」
あの日、助けてくれた時とは別人で。
あの時の優しい言葉も、ヒーローのような姿も、全て嘘だったんだ。
悔しくて、私は密かに大魔王と名付けたくらい。
五年の林間学校の夜も、アイツは………。
うぅ……、思い出すのはやめよう。
とにかく私は桐生秋十のことが大嫌い!
みんな「ニーナちゃんにだけ意地悪だね……」って言っていたけど、絶対君主の桐生秋十には誰も反抗せず。
私に対する意地悪は小学校まで続いたんだ。
中学になってからはあからさまに意地悪なことはしなくなったけど、私を睨む瞳はずっと変わらなかった。
「お前、ムカつく……」
いつだって冷たい声も………。