【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
ゴミ出しを終えた私は全速力で学校まで走る。
ポカポカ陽気の中をのんびり歩くカップルを見つけて、さらにスピードを上げて追い抜いた。
“彼氏”………か。
つくるなんて宣言しちゃったけど、一体どうしたらいいのか全くわからないや。
手順書でもあれば簡単なんだろうけど、そんなものがあったなら世界はカップルだらけだ……。
私ってばつくづくバカだなぁ。
けど、いつかお母さんに紹介出来るような素敵な彼氏が出来たらいいなって思うんだ。
お母さんのことが大好きだから。
お父さんが亡くなってから私を一人で育ててくれて、心細くても、お母さんは弱音も吐かずに毎日笑顔を絶やさない。
それは、私に笑っていてほしいからなんだって言っていた。
“ だって、お父さんはね、仁菜の笑った顔が大好きだったからね”……って。