【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。
ボーっとしていた私にひーちゃんの叫び声と同時、サッカーボールが私めがけて飛んでくる。
ぎゃああああーーーー!!
ーーードンッ!!
「……っ!」
…………………あれ?
サッカーボールはどこへ?
今、確かに鈍い音が響いたけれど私はどこも痛くない。
不思議に思い反射的にそっと目を開く。
「ほんとお前って、反射神経鈍いよな?」
「なっ、なんで………、」
マヌケな声が零れ落ちた私は目を見張った。
見上げれば、私の目の前には太陽の光を背負う桐生秋十がいたから。
サッカーゴールの手摺を掴んでボールが飛んできた方へ背を向けていた。
それはまるで、そうやってかばってくれたような体勢な気がして……。