†Knight Mare†
第一夜 始まりの訪問者
「あーきーとっ!!」

不意に五月蠅い声が耳に響いた。

「…あ゛?」

眠そうに顔を上げたのが、この物語の主人公 皇 秋人(すめらぎ あきと)。

「なあ、秋人…俺らはどうなるんだ!?」

心配そうに眉をひそめるこの少年は 二葉 悠一 (ふたば ゆういち) 秋人の幼馴染みで、いつも秋人の後ろを歩いていることから¨金魚のフン¨と冷やかされることもある。

「どうなるって何が…」

眠たそうに目をこすりながらアクビをする。

「だから、¨神隠し¨のことだよ!ニュースでも話題になってんじゃん!」


「うるせぇな…んなもん知らねーよ……」

再び、机の上に顔を埋め寝る体勢に入る秋人。

「ムダよ悠一、そんなバカに言ったって理解出来るわけないでしょ?」

嫌味な女子生徒が近付いて来る。

「またテメェかよ…」

秋人が呆れるように口ずさんだ。

現在、秋人は学校の教室にいる。

サボろうと思えばサボれるのだが、その度にこの女子生徒が耳にタコができるほど説教してくるのだ。

「でも…こう生徒が少ないとやっぱり……」

女子生徒も心配そうに眉をひそめた。


教室を見渡しても数人の生徒がチラホラといるだけで到底授業になるものではない。

この現象はこのクラスだけでなく全学年、全クラス共通してのことなのだ。

「ねぇ!やっぱり帰ろうよ!ここにいるのだって危険だって!!」

悠一は説得するように秋人に言い聞かすが当の本人はまったく興味がなさそうに見える。

「ねぇ!あき…」

「うるせえつってんだろ!!!」

バッと秋人がイスから立ち上がった。

「さっきから聞いてれば、¨どうなる¨だの¨帰ろうよ¨だの!いちいちうるせぇんだよ!!どうなるかなんて分るわけねぇだろ!帰りたきゃ勝手に帰りゃいいだろうがタコが!!」

秋人の声が教室中に響き渡った。
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