†Knight Mare†
「俺…帰るわ…」

恐怖に負けた男子生徒が鞄を持った。

「ば、バカか!?外だって安全ってワケじゃないんだぞ?家に着くまでに何か起きたらどうするつもりだ!!」

他の生徒も止めに入る。

「ど、どうする…?」

悠一が震えた声で訊いてきた。どうやら、コイツも怖いらしい。

「はぁ…」

呆れるように溜め息を吐いた秋人は机をバンッと叩いた。

「お前らビビり過ぎなんだよ!!神隠しか何だかしらねぇが泣き言だけじゃ何も始まねぇんだ!!」

教室内の生徒の目が秋人に向けられた。

「それにお前!」

男子生徒に人差し指をさした。

「誰がいつ、ここが安全だなんて言った?校舎は開放されてんだ、つまり誰が入って来てもおかしくねぇ……たとえ、それが殺人者だとしてもな…」

そう言うと、鞄を持ち教室の出口へと歩を進め始めた。

「ちょっと?どこ行くのよ?」

女子生徒が学生服の袖を掴んだ。

言い忘れていたが、この女子生徒の名前は天宮 春香 (あまみや はるか)と言う。

悠一と同じで保育所の頃からの付き合いだ。

「外は危険だから、学校にいた方がいいわ!」

強い口調で秋人に言った。

しかし。


「うるせぇんだよ…」

素っ気無い態度で春香の手を振り払った。

「ちょ、俺も行くから待てって!」

悠一も鞄を手に取り小走りで秋人について行った。
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