†Knight Mare†
空は青かった。

交じり気のない青い空。

青空に浮ぶ太陽は雑然と立ち並んだビルを照らしている。

季節は初夏、もう少しで夏休みと言うところでこの事件が起きたのだ。

街を見渡して見ても、まだ、昼間だと言うのに街を歩いている者は少なかった。

「……どうしてついて来る」

足を止め、振り返った秋人。

後ろを歩く者は悠一だけでなく、春香までいる。

「何?文句でもあるの?」

平然とした口調で応える春香。

「大ありだ!!いざって時に足手まといになるだろ!!さっさと家に帰るか学校に戻れ!!」

人通りの少ない並木道で秋人が怒鳴った。

「え、まさか…心配してるの?」

手を合わせて顔を輝かせている。

「バカか?事実を言ったまでだ?勘違いしてんじゃねーよブス!」

ほとほと呆れたように言い放った。

が、しかし。

「秋人くん?誰がブスだって?」

顔は笑っていた。

だが、こめかみに浮かぶ青筋がはっきりと見てとれる。

「ちょ……秋人…謝った方がいいって…」

おどおどした口調で悠一が耳元で呟いて来た。

「はっ!?冗談じゃねぇよ!誰がこんなブスに謝るかよっ!」

言ってしまった。

春香にとってのタブーを二回も口にしてしまったのだ。



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