断罪アリス
「莉瑚?」
よくこうやってうちに来てたからその姿に驚くことなく窓を開けると、莉瑚はニコリと笑う。
「何か言い争う声聞こえたから心配して見に来たの。七砂さんと……誰?」
「隣まで聞こえてたのか、ごめん。あー、あの人はちょっとな」
まさか、莉瑚に『俺は殺されかけて、あの人達に守ってもらうんだ』なんて言えないよな。
言葉を濁すと、莉瑚は何か察したように眉をひそめた。
「……それって、今日大学休んだのに関係してるの?」
そう、俺は今日大学を休んだ。
というよりかは起きたら大学に間に合うような時間ではなかったから行かなかっただけだ。
でも、単位は問題ない。
「それは……」
俺は莉瑚の鋭い突っ込みに肯定も否定も出来なかった。
莉瑚に真実を話したところで巻き込むだけだ。
此処は誤魔化すしかない。