断罪アリス


でも、何事も無かったようにいつもの飄々とした笑顔を浮かべた。



「私は藤邦アリス、そこで馬鹿みたいに狸寝入りしてるのが風間朱鷺。よろしくねー」



「馬鹿は余計だよ」



アリスさんの紹介が聞き捨てならなかったのか、風間さんはムクリと身体を起こした。



狸寝入りは否定しないのか?



「それで、貴方がたは何故天河の部屋に寝ようとしているんですか?」




「それは──」



「こ、この人達、なず姉の友達なんだよ。んで、なず姉の部屋は狭いから俺の部屋で川の字で寝るんだ」



何か言おうとしたアリスさんの言葉を俺は慌てて遮った。



何度も言うが、殺されるかもしれないから守るために傍にいる、何て間違っても言えない。



言ったら、莉瑚のことだから『あたしも守る!』なんて言い出しかねない。




「ふぅん……。あ、じゃあ、あたし帰るね」




一瞬、莉瑚は疑うような目で俺を見るが、何事も無かったように窓に手をかけた。





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