断罪アリス
item.2 dream
掃除機のうるさい音と共に、スマホのスピーカーからはこ五月蝿い女の人の声がする。
「──分かってるよ、戸締まりはしっかりする。いつまでも子供扱い──あー、分かった分かった。じゃあ、切るよ」
半ば強制的に通話を終わらせると、スマホをテーブルに置いた。
電話の相手は姉だ。
近所で殺人事件があったらしく、警官の父と姉は知らせを受けて夜中にも関わらず、現場へと向かった。
自宅に一人残った俺を心配したのか、朝になって仕事の合間を縫って姉が連絡してきたのだが……。
「俺だってもう大学生なんだからそんなんでいちいち連絡寄越すなよ……。子供じゃあるまいし」
姉はまるで子供が一人で留守番する時のように、「戸締まりをしっかりしろ」とか「知らない人が来ても容易にドアを開けるな」などと言ってきた。
大学生の成人間近の男にそれはないよな……。