断罪アリス
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「それじゃあ、俺は大学に行ってきますね」
リュックを背負って、玄関で靴を履きながら言うとアリスさんがリビングから出てきた。
「私、送ってくよ。朱鷺ー、コトリ君送ってくるねー」
アリスさんがリビングの方に声をかけると、「んー」と気の抜けた風間さんの声が聞こえた。
声と共に食器を洗う音がする。
朝食べた食器洗いや掃除は俺が大学に行っている間、風間さんがやってくれるらしい。
アリスさんもするのかと思えば彼女の壊滅的に家事が出来ないらしく、風間さんから手を出すな、と釘を刺されていた。
「んー、良い天気だねー」
隣を歩くアリスさんは空を見上げながら、両手を突き上げるように伸ばした。
梅雨が明け、本格的な夏が始まるのか蝉がうるさいほどに鳴いている。
でも、このうるさい蝉時雨に透き通るような彼女の声が埋もれることはない。
それほど、アリスさんの声は綺麗ということだ。