断罪アリス
「才暉、一飛」
風間さんは二人を呼んで身構える。
才暉さんは武器であるトンファーを、一飛さんは刃渡りの長い苦無を構えていた。
「あれ、お前はコトリ君を殺そうとしてたんじゃないの?殺人現場を見られて、生かしておくような真似はしないよね」
「確かにしないよ。でも、状況が変わった」
切碕の紅い瞳が細められたかと思うと、奴の隣に一人の女の人が立つ。
その女の人の顔に俺は言葉を失った。
何で、此処に──。
「大きくなったわね、天河」
女の人は俺の名前を呼んだ。
あの頃と変わらない穏やかな声で。
「母さん……?」
無意識に俺は女の人をそう呼んでいた。
そう、目の前の女の人は10年前に家を出ていった母──、小鳥遊潮。
その人だった。