断罪アリス
「……まあ、良いよ。それより、朝ごはんある?」
俺の様子が変だと気付いたのか、なず姉は話をそらすようにそう言ってきた。
なず姉は言葉遣いは荒いが、弟である俺には優しい。
うちは母親がいないから俺からすれば、なず姉が俺の母親変わりだ。
「俺もまだ食べてないから一緒に作るよ。その間にシャワーでも浴びてきたら?」
「そうするわ。……まさか、もうその時が来たのか?」
「なず姉?」
「何でもない。あたしの朝ごはん、スクランブルエッグにして」
なず姉は誤魔化すように首を振ると、スーツの上着を脱ぎながら風呂場の方へと歩いていった。