断罪アリス
「……ごめん、天河」
和泉の小さな謝罪が聞こえた。
俺はそれに首を横に振るしか出来なかった。
和泉が謝ることない。
全ては俺が何も知らずにのうのうと生きてきたのが原因だ。
知ってさえいれば、こんな危ないことに和泉や莉瑚達、アリスさん達を巻き込まずに済んだはすだ。
全ては俺が──。
「……でも、まあ、切碕の仲間だからそう簡単にはボロは出さないだろうね。大学内の探りは和泉と顔がきく摂紀に任せてるよ。私達も大学の傍には待機してるから」
アリスさんの言葉に、風間さん達は頷く。
そして、その後すぐに解散となり、俺は和泉と一緒に莉瑚達の元へ戻ろうと廊下を歩いていた。
「……天河、怒ってるか?」
「それ、何度目だよ。怒ってないって」
莉瑚達の元に戻るまでの間、和泉は何回も同じ事を聞いてくる。
事実、俺は本当に知ってて隠していた和泉にもアリスさん達も怒りを覚えていない。
覚えているとしたら、何も知らない自分自身にだ。